日常生活用具給付事業とは、主に重度障害者等の日常生活がより円滑に行われるための用具を給付又は貸与すること等により、福祉の増進に資することを目的とした事業です。市町村が行う地域生活支援事業のなかで必須事業のひとつとして規定されており、市町村ごとに対象品目、給付限度額などが異なるところが特徴です。
今回は、名古屋市と岡崎市の違いを例に一部ご紹介いたします。また、名古屋市では、令和7年度に各種目対象者の要件や給付限度額等の変更がありました。その中で、拡大読書器についてご案内いたします。
名古屋市と岡崎市の基準額と耐用年数の比較
種 目 名 |
名古屋市 基準額(円) |
耐用年数(年) |
岡崎市 基準額(円) |
耐用年数(年) |
電磁調理器 |
18,000 |
5 |
41,000 |
6 |
視覚障害者用血圧計 |
12,100 |
5 |
16,000 |
5 |
視覚障害者用ポータブルレコーダー(録音再生機) |
99,800 |
6 |
85,000 |
4 |
視覚障害者用ポータブルレコーダー(再生専用機) |
60,000 |
6 |
35,000 |
4 |
視覚障害者用時計(解読式) (音声式) |
14,400 18,900 |
5 |
14,000 ※触読・音声の区別なし |
10 |
視覚障害者用拡大読書器 ※1 |
269,000 |
8 |
198,000 |
8 |
暗所視支援眼鏡 |
395,000 |
8 |
198,000 ※2 |
8 |
音声ICタグレコーダー |
59,800 |
6 |
60,000 |
6 |
ICレコーダー |
― |
― |
デイジー機能有:79,800 デイジー機能無:37,800 |
10 |
地デジが聞けるラジオ |
25,000 |
5 |
― |
― |
音声色彩判別装置 |
― |
― |
47,000 |
10 |
ハーネス |
― |
― |
25,000 |
3 |
※1 岡崎市の種目名は「視覚障がい者用読書器」
※2 視覚障がい者用読書器の枠にて申請可能
※基準額は補助の出る上限の金額。この金額を超えた部分は自己負担となる。
※耐用年数は、次に新規申請するまでに必要な年数。
名古屋市は全国の中でも種目、限度額について比較的充実していると思います。また、岡崎市に関しては他の市町村にない種目を対象としていることが特徴的です。
令和7年度 名古屋市の変更について
名古屋市では、給付対象者の拡大や給付限度額の変更などがありました。その中で特に大きな変更があったのは拡大読書器です。変更内容については以下の3点になります。
①専用ソフトウェアをインストールすることで、拡大読書器の機能を生じさせるタブレット端末を給付可とする。
②従前の据置型、携帯型に「電子ルーペ」を加え、限度額内でそれぞれ1つずつの給付を可とする。
③拡大読書器の給付を受けていた方が、障害状況の悪化により音声読書器の給付を希望され、医師意見書等により音声読書器が必要と認められる場合に限り、耐用年数内再給付を可とする。
拡大読書器は、耐用年数の8年の間に病状などが進行し、支給された読書器の拡大機能を使っても文字が見えない・見えづらいという相談がいくつかありました。令和7年4月からは③のように音声読書器の再給付が認められるようになりました。この音声読書器を使用することにより、書類や書籍などを音声化して確認できるようになります。申請時の医師意見書の書式は任意となります。必要な場合は、各区役所の福祉課に意見書の様式がありますので、お問い合せください。
その他
1.詳細は各市町村で異なりますので、お問い合わせください。
2.日常生活用具を受給できるひと:身体障害者手帳(視覚)所持者(等級を問わないものもあり)
3.自己負担の有無:市町村や本人の収入によるが、原則1割負担。
4.手に入れる方法:市町村窓口に申請する。
まとめ
今回ご紹介した名古屋市と岡崎市は、見えない・見えにくい方に関する機器の最近の傾向や当事者のニーズに添ってこまめに内容の改定が行われています。しかし、すべての市町村がそうであるとは限りません。そのような地域差が生じないことが望ましいですし、そのためにも市町村へ要望していくことが重要だと思います。生活に必要な日常生活用具の給付により、日常の不便さが解消されることは、見えない・見えにくい方のQOLに関わるとても大切なことです。