愛知県眼科医会ロービジョンサポートラボ vol.2 ロービジョンケアや視覚障害者への支援に関するお役立ち情報を毎号お伝えします。 − 拡大読書器 −  拡大読書器とは、見えづらい(ロービジョンの)方の読み書きを支援する機器です。カメラ等で 対象物を映し、拡大して画面に表示することで、本や書類などを自身で読み書きすることが容易に なります。拡大率の調整の幅が広く、表示色の設定はカラーだけでなく、コントラストを強調した 白黒、白黒反転など見え方にあわせて表示を変更することが可能です。レンズ型のルーペでは見え る範囲が狭い、背景色を黒にしたいという人などに広く利用されています。 ■拡大読書器の種類 〇据置型  高画質高倍率のオートフォーカスカメラを搭載し、50倍程度までの高倍率の拡大が可能です。画 面のサイズは20〜24インチ程度で、画面下に縦横に動くテーブルがついているものが多く、ライン 機能、マスキング機能など機能も豊富な機種が多いです。持ち運びには不向きですが、中心視野欠 損がある方などかなり拡大が必要な方や厚みのある書籍などを読みたい方に有用です。 〇携帯型  軽量かつ持ち運びしやすいサイズのものが多く、画面のサイズが3インチ程度のものは電子ルー ペとも呼ばれています。外出先で値札や商品の成分表示などを確認するときに便利です。カメラを 自分の方向に向けられる鏡機能、パソコンやモニターに接続して使うものなど、多様な機種があり ます。 〇音声読み上げ型  スキャナやカメラで書面を読み取り、画像から解析処理をしてテキストデータに変換し、音声で読み上げる 機種です。取り込んだ画像はテキストを画面に拡大して表示することもできるので、音声・拡大読書器とも呼 ばれています。機械のサイズは据え置き型から眼鏡装着型の小型のものなど様々な種類があります。 ■拡大読書器の主な機能 ・白黒反転機能 ・・・・・・・・・・・ 黒地に白文字にすることでまぶしさを軽減できる。 ・コントラスト調整機能 ・・・ コントラストを強調することで薄い文字を見やすくする。 ・ライン機能 ・・・・・・・・・・・・・ 画面に線をひくことで読み飛ばしや行の読み間違いを防ぐ。 ・マスキング機能 ・・・・・・・・・ 不要な部分を隠すことで羞明をより確実に軽減できる。 ・XYテーブル(据置型のみ)・・・・・ 縦、横にテーブルをスライドすることができる。 ・遠用モード機能(主に携帯型)・・・ 本体を置いて見ることができない場合や広い範囲を映すのに 便利。 ■選ぶ際のポイント 〇どんなことに使いたいのか 回覧や書類など最低限の確認がしたいのか、記名や日記など書くことに使いたいのか、編み物や手 芸、爪のお手入れなど手元の細かな確認に使いたいのかなど。 使えるシチュエーションの多い機種は、日常生活の幅を広げることにもつながります。 〇どこで使いたいのか ご自宅の部屋など決められた場所、職場での仕事用、外出先など。 据置型の場合、置き場所のスペースを確保できるか、確認が必要です。 〇実際に使って、自分にあったものを選ぶ 実際に読みたいものが読めるかどうかの確認や基本的な操作法を知った上での購入をお勧めしてい ます。情報文化センター、名古屋市総合リハビリテ―ションセンター、なごや福祉用具プラザ、キ クチメガネ・メガネの和光のロービジョンセンターなどにデモ機があります。遠方で来館できない 場合には、電話で相談することも可能です。お気軽に下記の問い合わせ先まで連絡ください。 *医師の診断書は不要ですが、こうした情報をお持ちでない患者様に是非ご案内頂ければと思います。 ■日常生活用具給付制度について  障害者が日常生活をより円滑に過ごすために必要な用具の購入を公費で助成する制度です。拡大読書 器は日常生活用具給付制度の対象商品で、給付対象者は「等級に関わらずこれを必要とする人」となって おり、視覚障害で身体障害者手帳をお持ちの方なら何級でも対象となります。自治体ごとに対象品目や補 助上限額などが異なるため、各自治体の福祉窓口へお問い合わせください。  給付制度の申請の流れとしては、行政との契約で認められた販売店で作成した見積書とカタログを福祉 課の窓口へ提出して手続きをして頂き、給付の決定を受けたのち商品のお渡しとなります。(その際、自己 負担や補助上限額を越えた分の負担が発生する場合があります) (文責:情報文化センター 吉田洋典) *問い合わせ先 ・名古屋市総合リハビリテーションセンター 自立支援部視覚支援課 名古屋市瑞穂区弥富町字密柑山1-2 052-835-3523 ・社会福祉法人名古屋ライトハウス情報文化センター 名古屋市港区港陽1-1-65 052-654-452